波及。

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 ラミアスが初めてニライカナイにやって来た日。 彼女の来訪についてテイルウィップ辺境伯夫人アメジストから予め一重に念話連絡があり、其を一重が直ぐ様ニライカナイの皆に公表した事が功を奏し、ラミアスの姿を見るなりドエス一味がオールドドラゴンをけしかけてきたと慌てふためき騒ぎ出した者は誰一人いなかった。 この事は単眼族とテ領との関係修復が順調に進んでいるという証のみならず、一重がニライカナイの皆から強く信頼されている証でもある。 因みにラミアスより以前にエアドラゴンがルー大陸に現れたのは、単眼族の長に代々伝えられている記録に拠ると現在から300年程昔のこと。 当時イアンヴェ地方最大の村であったハツールにて、単眼族とテ領兵との境界を巡る衝突が起きていた正にその時であったと記録に残されている。 陣営に関わりなくドラゴンの襲来等誰一人想像すらしていなかった訳であるから、当然両者は争っている場合ではなくなり一時休戦し一致団結してエアドラゴンを迎撃せざるを得なくなる。 そして混乱に陥りかけていた者を陣営に関わりなく一人また一人と立ち直らせ、見事な指揮の元エアドラゴンを撃退しイアンヴェ地方の被害を最小限に留めた功労者こそが、イラブーことマルーン姫の両親であるテイルウィップ辺境伯夫妻であったのだ。
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