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尚、この時単眼族の指揮を執っていた者は、現在特別自警団『アハトアハト』団長テオバルト=ハルトマンの外堀を着々とマイペースにて埋めつつある大魔導師ティア=プラート。
ドラゴンの襲来に拠る倒壊を免れた民屋(みんおく)にてテイルウィップ辺境伯夫妻とティアとの会談が行われた際、彼女が
『殆どがニニ=ペリドット先生とサシ=ペリドット先生…
私の御師匠様の受け売りですが、テ領の皆様にこの言葉を進呈します。
私たちは家族です。
辛いこと、悲しいことは半分づつ分け合って担い、共に素晴らしい未来を築きましょう』
…と述べ、テイルウィップ辺境伯夫妻が此に同意しその場で休戦協定が締結。
後の世から見ればほんの束の間とはいえ、長年続いていた争いが止んでいた時代が確かにあったのだ。
休戦協定締結から僅か数ヶ月後に近年までその真相が謎に包まれていたマルーン姫の失踪事件さえ起きなければ、また違った歴史もあったのであろうが………
ドエスが領主代行に任命されテ領の実権を握るや、忽ちその本性を現し休戦協定はあっさりと破棄された上に騙し討ちの道具に悪用される始末。
ティアが今尚ドエスを凄まじく毛嫌いし尚且激しく憎悪している理由は、先述の過去と決して無関係ではないのだ。
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