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「だが、馬鹿な子ほどむぜ(可愛い)もんでな。
昨日ん晩もゆたが、どうか命だけは許してやって欲しか。
ないならおいん宝もつけよう。
頼ん、此ん通りじゃ 」
昨夜と同様に深々と頭を下げつつ、傍らの刀掛から一振りの日本刀を取り陸攻に差し出すシゲヒサ。
直後陸攻が表情を一変させ口を開く。
「!!!
其は…」
「 そう、名刀菊一文字月読則宗。
おいが知っ其とは些か造りが異なっどん、正真正銘本物や」
「…其を何処で?」
「娘を捜す道中で見付けた。
すまとらだかウマトラだか忘れたが、わっぜ深か密林ん中で得体ん知れん金属ん残骸ば調べちょっ連中と出会してな。
そん中で一番偉そうにふんぞり返っちょっ南蛮人ばぶちのめして取り上げた。
…亜美には内緒だぞ?」
いたずらっ子のように無邪気に笑いながらシゲヒサ。
やがて陸攻の両目に涙が溢れる。
其も無理はない。
何故なら差し出された菊一文字月読則宗こそ、サバン島にて小十郎君…
中島真之中尉から預かった一振りなのだから。
やがてシゲヒサが口を開く。
「 泣っ程気に入ったか?
今一度言おう。
連中ん命だけは許してやってくれ」
直後再び陸攻の表情が一変する。
そして口を開く。
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