経緯。

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 故郷の家で過ごす時間が長くなるに連れ、イラブーは自分がマルーンと呼ばれていた頃の事を、少しずつ少しずつ思い出していく。 父シゲヒサのこと。 母アメジストのこと。 専属メイドであり、かつてはお姉ちゃんと呼んで慕っていたマリアのこと。 そして… 「せや… そういえばオキナも、うちのことイラブーって呼んでた。 オキナといい陸といい、血は争えへんもんやねほんまに。 あほって遺伝すんのやろか…」 偶然に出会いやがて相思相愛の関係となった、沖縄の人族男性オキナのこと。 オキナとの間に授かった、 ほんの僅かな時間しか一緒に過ごせなかった 一粒種の女の子は、やがて成長し代々ツカサ(集落のまとめ役・リーダー)を務める家に嫁いだと記憶している。 そして、嫁ぎ先で子を産み育て、後に一式の姓を名乗る家を守り立てて行く陰の大黒柱となっていく。 しかし、薩摩藩の琉球王国侵攻を境に敢えなく…
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