経緯。

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「…はぁ。 今更どうにもならん事くらい、幾らウチがあほかてよぉ分かっとう。 せやけど、あのクソダボがいらんコトさえせえへんかったら… ! あかん、パルーニアのクソダボメチャクチャにドツき回して、須磨海岸か六甲の山に生きたまんま埋めてやりとうなってもうた。 其とも、築港か生駒の山か好きな方選ばして…」 思い出し笑いならぬ思い出し怒りに囚われかけるイラブー。 そんな彼女を落ち着かせてくれたのは、棚にチョコンと置かれている御人形であった。 だいぶくたびれてしまってはいるが、あの時と変わらぬ柔らかな微笑みを浮かべている御人形。 せっかく友達が出来かけてもドエス一味に睨まれるのを恐れ、相手がすぐに逃げてしまった事など枚挙に暇(いとま)がない。 この御人形がなかったら… 「!!! あの時の御人形やん! 捨てられもせんとよぉ今まで… …ほんまおおきに、お姉ちゃん」 戸棚にふと目を遣りながらイラブー。 お姉ちゃんとは勿論ドエス等ではなく、急速に陸攻を認めつつあるマリアのことである。 正直彼女の事を調子のええやっちゃとは思っているものの、悪い気がする程ではなかった。
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