変身猫とショートケーキの彼

3/13
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 変身猫とは私が作った造語で、猫から別の生き物に変身するという意味だ。 「しかもあんな綺麗な男の人に」  猫と同様に、さっき見た男性の左手にも白い包帯が巻かれていた。同一人物に違いないからだ。  フィクションでしか起こり得ない現象に、私は胸を躍らせた。  猫が人間に変身するなんて素敵。例えばそう、魔法使いの援助を受けて自由自在に姿を変えられるとか? 人間になって何かやりたいことを叶えたいとか……。  そう考えたところで逆の場合もあるのかもしれない、と思考があちこちを飛び回る。  私は昔から空想にふけるのが好きな子供だった。現実にはあり得ない現象であればあるほど、ワクワクした。ファンタジーには夢がある。  空飛ぶ箱庭、翼を持つ天使やキマイラ、魔法使い、未来や過去に跳ぶタイムリープ、そして変身能力。これらは私に想像と創作の楽しさを与えてくれる。  作家や脚本家になるのを密かに夢見ていた。高校三年生という受験生の現在、私は夢を叶えるために専門学校を志望している。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!