変身猫とショートケーキの彼

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 フクちゃんは他の子より太っていて引っ込み思案で、いつも何か言いたそうにモジモジしていた。みんなからフクちゃんと呼ばれていて、フルネームは把握していなかったけれど、優しい良い子だった。  アルバムの写真を眺めながら星のヘアピンを付けた私を指でなぞった。このピンにしてもそうだ。  新しく買ったお気に入りのヘアピンを褒めてくれた。誰にも気付いてもらえなかったのに、フクちゃんだけは可愛いねと言ってくれた。当時一年生だったフクちゃんは秋に引っ越していったっけ。  出した物を片付ける母に、見ていたアルバムもお願いした。  小学生時代の自分を振り返り、何気なく思った。  そういえばあの頃は私も活発だったよなぁ、と。どちらかといえば明るかった。  地味でさえない自分を鏡の中に見て、ついため息がもれた。昔の女学生みたいにいつも黒髪をおさげにし、なおかつ銀縁フレームの眼鏡をかけている。  陰キャ。そこまで性格が暗いというわけではないが、私は教室のすみの方で同志たちと共に趣味嗜好について語りあい、大人しく過ごすのを好んでいた。  そしてそれを一部の女子と男子は、根暗でキモいと囁き、私たちは笑われているのを自覚していた。
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