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斜向かいに住む、いかにも陽キャの真柴くんと、何故か二週間ほど前から仲良くしている。思えば彼が近所に引っ越して来てから、まだひと月ほどしか経っていない。
「あん子先輩って進路どうするんですか?」
あと二ヶ月半もすれば今年が終わるという時期に、そんな質問を受けた。別に真面目に答える必要もなかったのだが、「専門学校に行くつもりなの」と返事をしていた。
「何の専門?」
「……秘密」
陽キャの彼に空想好きの夢を語るのが恥ずかしくて、最終的な進路は曖昧にした。
彼は二つ年下の高校一年生だ。
私たちが話すようになったきっかけは、家の洗濯物が風に飛ばされて彼の家の門扉に引っかかっていたことだった。
3-1月宮 あん子と書かれたフェイスタオルがそれだ。彼がうちのインターホンを押してわざわざ届けに来てくれた。
「名前、なんか月見のだんごみたいでいいっスね」
初対面にもかかわらず、屈託のない笑顔でそう言われた。
真柴くんの名前はらくとという。楽しい人と書いて楽人。真柴 楽人。彼にぴったりだと思う。
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