変身猫とショートケーキの彼

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 イメージカラーは彩色系のオレンジだ。髪の毛を茶髪にしているせいもあり、眩しく見えた。  前にそんな話を彼に直接したことがある。対照的に私の色はくすんだ藍色。地味だからだよ、と補足しようとしたら先にオレンジくんが遮った。 「ああ、なるほど。十五夜のイメージっスね。神秘的でいいですね」と。どうやら彼の私に対する印象は、最初に言われたお月見から抜けきれていないらしい。  真柴くんは心の綺麗な持ち主だと思う。どう見ても地味でさえない私を外見だけで判断しない。  しかしながら、陽キャの彼と並んで歩くとどこかな気がして居心地が悪いのだ。ショートケーキの隣りに無理やり羊羹(ようかん)を置くようなものだ。  つり合わないのでむしろ構わないで欲しい。そう思うものの、真柴くんは何の気なしに私に話しかけてくる。彼のコミュニケーション能力の高さには頭が下がる一方だ。  *  近所にある公園であの変身猫を見かけた。ブルーの細い首輪を付けた白い猫だ。左前足の包帯はもう外れていた。  二学期に行われる中間試験の一日目で、帰宅が早かった。  猫はコンクリートの上に体を横たえ、右の前足を舐めてから毛づくろいをしていた。
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