好きの種類

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「単刀直入に聞く、あんた絢斗の何なんだ?」 『だから、友人だと言っただろう?だが、君の思う友人とは少し違うな』 「どういう意味だ?」 『恋人ではないが、君が疑ってる通り身体の関係はある』 「フラれて傷ついた絢斗に、あんたが付け込んだんだろ?」 『それは誤解だ。元カレの事はなんともないそうだ。おそらく…君のせいだよ?』 「なんで…俺?」 『私は【八坂悠真】。絢斗とはマッチングアプリで知り合った。これは憶測だが…絢斗は私を名前だけで選んだんだろう。初めて会った時、酔ってたしな。おそらく【ユウマ】が欲しかったんだろうな。私は役得だが、君の代わりかと思うとイラつくな』 「なんで…」 『なんで?君は絢斗にその気がないなら関わるのはやめた方がいい。絢斗を振り回すな』 「なんであんたにそんな事言われなきゃいけないんだ?」 『はぁ…これだから子供は。君には彼女がいるそうじゃないか。ノンケの君にゲイである絢斗は無理だと言っている。ノンケとゲイではうまく行かない』 「あんた…絢斗の事、本気なのか?」 『本気に何も、私たちは身体だけの関係だ。絢斗もそれを望んでいる。私は絢斗が好きだがな、私には妻子がいるし絢斗もそれを知っている』 「……」 『君が絢斗を愛すると誓うなら、私は喜んで身を引くよ?』 「わからない…男同士だぞ…」 『そんな石頭なら、二度と絢斗に近づくな』 「……」 『本当に世話の焼けるヤツだ。私も君も絢斗が好きなんだよ。だからお互いの存在が気に食わないんだ。君が認めるまでは私が絢斗を慰めるから問題ない。もちろん気づかなくてもいい、私には好都合だ。絢斗を気に入っている。絢斗から手を離さない限りはな。じゃ、話はこれで終わりだ』 ゆうまは会計を済ませ、店を出た。優馬がその場をしばらく動けなかったのは言うまでもない。
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