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愛と別れ
『やぁ、二人ともご無沙汰だったね?』
今日は二人して悠真に呼び出され、高級レストランの席に集まった。
「悠真さん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
『おやおや、絢斗。エラく他人行儀だね。あんなに激しく愛し合ったのに』
「おい、おっさん。余計な事言うために呼び出したのか?」
『相変わらず優馬くんは口が悪いね。実はアメリカで会社を起こす事になってね。恐らくもう日本には戻ってこない』
「悠真さん…そんな…」
「何で絢斗は、そんなに悲しそうなんだよ…ムカつく」
「優馬は黙ってて」
『渡米する前に、絢斗が幸せかどうか確かめたかった。もし辛そうなら連れて行こうと思ってね。絢斗…どうだい?』
「悠真さん…俺、幸せだよ。たぶん初めてなんだ、こんなに穏やかに過ごせるの。優馬のおかげで」
「絢斗…愛してる」
『ふふ、そうかぁ…残念だなぁ』
「おっさん、残念だと言いながら嬉しそうにじゃん」
『当たり前だ。絢斗の幸せそうな顔が見れて良かった。相手が君なのはやっぱり気に食わないが、愛してるなんて言えるようになったんだな』
「悠真さん、本当にありがとう。あの時、出会えたのがあなたで良かった」
『そんな可愛いこと言われると、攫って行きたくなるな。まさかこんなに絢斗に惹かれるとはな』
「絢斗は俺と生きていくんだ。おっさんも向こうで頑張れよ」
『いつか、二人で遊びに来なさい。待ってるから。ここのディナーとこれは俺からのプレゼントだ』
悠真はそう言って、白い封筒をテーブルに置く。有名なアクセサリーショップのロゴ入りだ。
『必ず、二人で行くんだよ。二人が行けば俺に連絡が入る。もし5年以内に連絡がなければ、絢斗を迎えに来る』
絢斗は封筒の中身を確認する。
「悠真さん…これって…」
「絢斗、なんだよ」
『マリッジリングの引換証だ。支払いも済んでいる、いつ取りに行くかは君たちの自由だ。ただし5年以内だ。いいね?』
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