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「よう…」
「誰?」
「マジか…お前、【顔と身体だけ】のヤツだろ?」
「お前か…やめろ、言うな」
「だって名前知らねーもん」
「樫井…絢斗だ」
「絢斗か…俺は優馬。加賀谷優馬だ。おっ、そのまま…俺を見てろ」
「は?何を…」
優馬は絢斗の両肩に手を乗せる。
「しっ、振り向くな。ツンツン頭が俺を睨んでる」
「ツンツンって…順也か?」
「お前の元彼だ」
「ふっ、まだ見てるか?」
「ああ」
絢斗は優馬の腰に腕を回し見つめ合う。
『絢斗!!!』
「来たぞ、修羅場かな」
優馬は笑う。
「面白がってるだろ」
『絢斗、ソイツ何なんだよ』
絢斗は優馬に腕を絡めたまま、振り返る。
「順也…と、彼氏くんかな?よろしく」
「順也くんだっけ?俺が今、絢斗を口説いてんだ。邪魔しないでくれる?彼氏くん、ちゃんと捕まえといてね」
「バカ優馬…」
俺はワザと親密そうに優馬を見つめる。
『何だよ…絢斗はいつも俺だけだろ?お前だけはずっと俺だけをみてればいいんだ』
「順也くん、君さ…自分の彼氏の前で何言ってんの?君に捨てられた絢斗はみんなから狙われてんだよ。だから俺が先に攫いに来たわけ、だから君のじゃない。ウザいと嫌われるよ?」
「順也…可愛い子だね。じゃ、俺は優馬と約束あるから。行こう優馬」
優馬と絢斗は腕を絡ませたままその場を去った。
「いいのか?」
「何が?」
「アイツだよ」
「もう、なんとも思わない。お前に言ってなかったな。別れたの3回目だよ」
「はぁ?お前どんだけ心が広いんだ?」
「そんなんじゃないけど、もう何も感じないから。そういう事だろ」
「絢斗、このまま飲みにでも行くか?」
「いや、遠慮しとくよ。さっきから女からの視線が痛いんだ。優馬といると刺されそうだ」
「目立ってるのは絢斗だよ。俺たち最強カップルだな」
「カップルじゃないだろ」
「つれねーな」
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