好きじゃない

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「絢斗、久しぶりだな」 ちっ、避けていたのに会ってしまった。 「優馬、元気にしてるか?」 「お前、俺を避けてんのか?」 「…まさか…そんな事する理由は…ないだろ?」 「あのツンツン頭は?」 「ああ、電話してくるが着拒してるから」 「そうか…なぁ、飯でも行かねーか?」 「優馬…」 (ああ…ゆうま…ソコ…好き…) ゆうまとのセックスを思い出す。 「いや、ごめん…ちょっと忙しくて」 「……」 「そのうちな、連絡するよ」 「そっか…わかった。連絡待ってるよ、じゃあな」 「ああ」 ヤバい…何なんだよ。もう、痛い思いはしたくないんだ。恋にしてしまうと怪我をするから。 クソっ、身体が疼く。誰か… 絶対しないと思っていた【ゆうま】の連絡先を呼び出す。 プルルル プルルル 【はい】 【……】 【もしもし?】 【……】 【もしかして…絢斗くん?】 【…よく分かりましたね】 【待ってたから…連絡先を聞かなかった事、後悔していた】 【待ってたんですね…すみません。図々しく連絡してしまいました】 【今夜、食事にでも行かないか?】 【……】 【食事だけでもいいから…会いたいんだ】 【分かりました。詳細はメール下さい】 【ああ、わかった】 プツっ あーあ…かけなきゃ良かった。食事だけで済む訳ないのに。 ああ、ほら…身体が堪らなくなる。 待ち合わせの駅。約束の10分前…早かったかな、こんなに待ち焦がれるなんて。 『絢斗くん…お待た…せ…そんな顔で私の事待ってたのかい?』 『そんな顔?』 ゆうまは俺の耳に囁く。 『私を誘うエロい顔してる。もう、待てない。このままホテルへ行こう』 俺は黙って頷いた。ゆうまの顔を見た途端、ゾクゾクと期待に身体が震える。 『え…ここ?』 誰もが知るような高級ホテル。 『さあ、行こう』 ゆうまはさっさとチェクインを済ませ、エレベーターへとエスコートしてくれる。
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