好きの種類

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好きの種類

『まあ、モヤモヤしてたけどゆうまに抱いて貰ったらスッキリした。ありがとう』 『それは光栄だ。いつでも呼び出してよ』 『そんな…我儘な事できない』 『言ったろ?私は大人だ。甘やかすぐらいの心の広さは持ってるよ。それに絢斗の事は気に入っている』 『顔と身体だけって思ってる?』 『いや…そうは思わない。君を丸ごと気に入っている。ただ…本気の恋にはできないから。どちらかが本気になったら終わりだよ?』 『ふうん…俺も愛はいらないかな』 『言わないのはフェアじゃないな。俺には妻子がいる。でも抱きたいのは男だ』 『そっか…わかった。また連絡する。ただし無理はしない事、これはお互いの為』 絢斗は指切りの為、小指を差し出す。ゆうまは小指を絡ませて絢斗を抱き寄せる。 『そうだな…可愛い絢斗…私の方が本気になってしまいそうだ』 『クスッ、ダメだよ。会えなくなっちゃう』 『さあ、シャワーを浴びて食事に行こうか』 二人別でシャワーを浴びて、部屋を出る。 『チェックアウトしてくるよ』 『外で待ってるね』 ああ…綺麗な夜空。月が出てる。 「絢斗?」 「優馬…なんでここに?」 「俺は買い物の帰りだ」 『絢斗!お待たせ。友達かい?』 ゆうまが近づいてきた。 「絢斗…この人誰?」 『失礼だな。先に名乗るべきだろう?』 「俺は【加賀谷優馬】、おじさんは?」 絢斗は縋るような目でゆうまを見る。 『私は、八坂だ。絢斗とは…友人だ』 「友人ねぇ、ホテルから出てきたクセに?」 「……」 『加賀谷くん?君には関係ない。絢斗…行こうか?』 「絢斗…俺との飯断っといてこれかよ」 「悪い…じゃあな」 ゆうまと絢斗は歩き出す。二人の距離感が友人でない事は、誰が見ても明らかだった。 優馬は唇を噛み締め、二人の後ろ姿を見送るしかなかった。
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