好きの種類

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「今の子…優馬くんだっけ?」 「お願い…何も言わないで。【ゆうま】って名乗らないでくれてありがとう」 「……」 「彼とは何でもないんだ」 「食事、断ったんだろ?私とどっちが先だったんだ?」 絢斗はため息を吐く。嘘言ってもな… 「あっちが先だった」 「なるほど…あの子の約束を断って私に電話してきたんだね?あの子は君がゲイって知ってるの?」 「うん…俺がフラれるとこ見られたんだ」 「そうか…あの子は君が好きだぞ?私に嫉妬の牙を剥いていた。まぁ、私も君を渡したくなくて、攫ったがな」 「ゆうま…」 「明日はどうであれ、今夜君は私のだからな」 「ふふ、そうだね」 「確かに、あれだけのイケメンなら女性はほっとかないだろうな」 「ゆうまから見ても、ノンケだったでしょ?」 「確かに、あれは君の事が好きだが自分で気づいてないような感じだな」 「なら、気づかないままの方がいいよ。俺とどうにかなったとしても、必ず後で後悔する」 「それは…絢斗が決める事じゃない」 「…ごめん、ゆうま…今夜は帰るよ」 「そうか…残念だが仕方ないな。また連絡くれるかい?」 「多分ね…ゆうまの事は好きだ。ってそういう意味じゃなく、人間として」 「わかってる、嬉しいよ。じゃあまたな。ライオンと話さないと…」 「?」 「いや、こっちの話だ。絢斗…私は何にしても君の幸せを願っている。おやすみ」 「ゆうま、ありがとう。お休み」 ゆうまと絢斗は駅で別れたが、ゆうまはそこを動かなかった。 『さて…』 「気づいてたのかよ。八坂さん…だっけ?」 『当然だ、加賀谷優馬くん。話がしたいんだろう?どこかへ入ろう』 「……」 二人のユウマは駅近くのコーヒーチェーンへ入った。
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