籠の中の鳥

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「……」  久しぶりに……本当に久しぶりに王宮で催された舞踏会に参加したあの夜。  俺は『天空の国』の王子と友人になった。  しかし、彼の国は周辺を海に囲まれているせいか簡単に行く事が出来ない。  そんなワケで普通の貴族たちの様にお茶会や舞踏会で簡単に会う事すら叶わず、もっぱら『文通』でのやり取りをしている。 「ふぅ」  ――それにしても。  彼、ツバサが我が国との『友好関係』を示すための舞った舞は……とても美しかった。  ――いや、美しかった……なんてそんな簡単な言葉ではなく……。  そう思ったが、結局のところ『美しい』以外の言葉が出てこなかった。  ――自分の語彙力のなさを呪いたい。  正直、今も頻繁に行っているこの『文通』でもそれはとても痛感している。それくらい、ツバサの手紙は面白い。  ――本人も面白いヤツだったしな。  正直、俺の知っている『貴族』とは違い、社交辞令やお世辞も嫌う。実際、舞を終えた後に近寄って来た『貴族』たちを見るや眉間にしわを寄せていた。  ――それでずっと俺としゃべっていたよな。  実は、兄夫妻の隣にツバサの母親である女王陛下もおり、挨拶をした際ツバサから「母上、我にも友が出来ました」と紹介されている。  ――正直、あの女王様の目。怖かったなぁ。  まるで品定めをされている感覚だったが、それも息子である王子の友人を見定めている……と考えれば分からない話でもない。 「……ん?」  そうしていつもの様に手紙を読み進めていると……最後に「追伸」といういつもは見慣れない文字が書かれている事に気がついた。 『近々こちらから使者が何度かそちらの国を出入りするので、タイミングが合えば一度我が国に遊びに来ないか』  そう書かれている。 「!」  俺はその文章を見るや否やすぐさま返事を書いた。 「よし」  そして、俺はすぐにその返信を使いへと渡した――。
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