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『今、どこにいますか?』
「ダメだ。既読にならないよ」
メッセージアプリの画面を見ながら、小暮柚琉が首を振る。
「こっちも電話繋がらないよぉ」
スマホを耳に当てたまま、森千尋が眉間に皺を寄せる。
「何かあったのか?あいつ、ストーカーに付き纏われてるって言ってたしな。心配だな。それに今日はあいつの大事な日なんだろ?」
山内雅は腕を組んで2人を見つめる。
校門前で額を集めている制服姿の3人。
連絡が付かないのは秋山レオナ。
学校では縛っているが、栗色のゆるふわカールが特徴のかなりの美少女。
言い寄ってくる男子は多く、告白を断ることが日課になっている。
振られて大人しく諦めてくれればいいのだが、中には諦めきれずに付き纏ってきてストーカーのようになる奴までいるようだ。
そんな彼女には、このメンバーしか知らない秘密があった。
「さっき、秋山さんの下駄箱見たら靴がなかったから、もう学校内にはいないと思う」
小暮柚琉が神妙な顔で呟く。
「私もいろんな人に聞いてみてるんだけどさぁ、レオナちゃんがどこにいるか誰も知らないみたいなんだよねぇ」
友達が多いリア充女子の森千尋は、それが自然になのか、母性本能をくすぐるような困り顔の表情を作る。
「仕方ない。手分けして心当たりを探すか」
山内雅が言うと2人は頷いた。
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