Peacock

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……… … 家に帰って来て自室でゴロゴロ。 部屋着のジャージを着ながら、 ぼーっとスマホで動画を見る。 『〜♪』 「うわぁ、よくこんなことできるなぁ…」 スマホの動画アプリで 女子高生の配信動画が流れてくる。 カメラアプリで加工した顔に 短いスカートを揺らしながら楽しそうに踊る姿。 「私だったら絶対無理。  普通に恥ずかしくないのかな?」 ベッドで仰向けになりながら、 配信動画のコメント欄を開く。 『すごく可愛い!』 『ダンス上手!素敵!』 「……」 は?何言ってんの? 加工じゃん、くだらない…。 私はコメント入力欄を開いて キーボードをタップする。 『加工強すぎ。よくこんなこt』 ここまで入力して… 「わっ!」 スマホが手から滑り落ちてきた。 「〜〜っっ!」 スマホは重力に任せて落下し、 ゴンッという鈍い音で私の顔にぶつかった。 いったぁ…もう最悪…。 眼鏡割れてないよね…? 「……はぁ」 なにやってんだろ、私。 逃げるように帰ってきて、 勝手に嫉妬して痛い目にあって。 ほんと惨めだ…。 私がもっと可愛ければ… こんな風にならなくて済んだはずなんだ。 「…はぁ」 「うーん、美味しそうな惨めさですねぇ」 私がもう一度ため息をついた瞬間、 自分以外いないはずの部屋で 誰かの嫌味な声が木霊した。
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