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「貴方は今どこにいますか?」
運命の王子様。と言うと、友人達は笑って言った。
「まぁたやってるよ。お姫様ごっこ」
「王子様が来るなんて、あるわけないでしょ」
「いるかもしれないでしょ、運命の赤い糸っていうし……」
「じゃあ、その赤い糸の相手を手繰り寄せにいくよ、ほれほれっ」
「うわあっ」
友人達に言われ、私は人生初の合コンに参加した。
「あんまりいい人いなかったな……」
一次会が終わり、一人で駅へ歩きながら私は小さく呟いた。
「のわあっ」
ヒールが溝にはまり、私はつんのめって倒れそうになった。すると目の前の男が、肩を優しく掴み、支えてくれた。
「大丈夫、ですか?」
私は慌てて男と距離をとって立ち、言った。
「あっ、ありがとうござっ……」
その顔を見た時、一瞬時が止まった。
年は同じくらいの眼鏡をした男は、初めて見る顔なのに、少しでもここに引き留めておきたいような気がした。
すると、男が言った。
「結婚、してください」
「えっ?」
あまりにも急で驚いた。すると男も驚き、慌てて言った。
「あっ、その、いやっ……すみません。えっと、よかったら、今度ご飯にでも行きませんか?」
よくいるナンパ男は、いつも笑ってスルーしているのに、この男だけは、何故かスルーしてはいけない気がした。
不安そうにこちらを見上げる男に、私は笑って応えた。
「今度の土曜日なら、いいですよ」
「じっ、じゃあ今度の土曜で」
「はい」
食事の約束をして男と別れると、暖かい風が私達にそっと吹いた。
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