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ダイの呼吸は一層荒く、体の末端から痺れが始まっているようだった。それでも何とか口を動かして笑おうとする。
「は、はは……親友を裏切ろう、なんて、するから……罰が当たった、んだ……」
「はぁ? そんなこと言ってる場合じゃないだろ! いいから、喋るな――」
「ごめ、ん……お前に、記憶失くす薬……俺……」
「ばか! そんなのどうでもいいってば!」
ワタルの必死の圧迫も虚しく、ダイの体は必要な血液を失った。
辛うじて声となった彼の最期の一言は。
「友達を、手に掛けずに、済んで……よかっ……」
「ダイ……っ!」
膝に乗った肉体から力が抜け、ズシリと重さが圧し掛かる。ワタルはその亡骸に向かって深く頭を垂れた。
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