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*** 「……ふぅ」  心音が完全に停止したことを確かめると、ワタルは亡き友の骸をひっくり返した。服を弄り、『鍵の欠片』を探し出す。月光に(かざ)してじっくりと観察した。 「ちっ……こいつもハズレか」  ワタルの手の平には三つの欠片がのっている。残念ながら、その三つは互いの半身ではないようだ。 「まあいいか。三種類ってことは、誰でもいいからあと一人殺せば揃うはずだもんな」  地面に刺さった鉈を抜き、適当な藪の中に穴を掘って埋めてしまう。リーチの長さだけで見ればナイフより鉈の方がいいのかもしれないが、ダイも言っていた通り持ち運ぶのが大変だ。それに、ワタルは元より接近戦などする気はない。 「ちょっとわざとらしかったかな? なんか、思い出したら恥ずかしくなってきた……」  あえて手ずからトドメを刺さず、親友として最期を看取ってやったのは、これまでの友情に対するせめてもの恩返しというやつだ。 「じゃあな、ダイ。悪く思わないでくれよ。先に裏切ったのはお前なんだからさ」  そう言って軽く手を合わせ、遺体も藪に放り投げた。
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