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 ダイがコンバットナイフに視線を落とす。 「それがワタルの武器か?」 「あ、ああ」 「……って、ワタル! 怪我したのか? 大丈夫か?」  月明かりの中で目を凝らし、ダイは叫んだ。釣られて自分の体を見下ろしたワタルは、そこでやっと服があちこち黒い染みで汚れていることに気が付いた。 「うわっ! あ、いや、血じゃないよ。怪我なんてしてないし。さっき倉庫を漁ったから、油かなんか付いたのかも。それか泥とか」 「本当か? ならいいけど……」  ダイはなおも心配そうだったが、ひとまず納得したようだった。 「じゃ、他は? 武器以外には何も持ってなかったか?」 「えっと、トランシーバーがあった」 「他には?」 「え? いや……あ、ライターなら」  ダイは一瞬少し訝しむような顔をしたものの、すぐに表情を改めて手にした(なた)をかざして見せた。 「俺のはこれだったよ。ちょっと重いし、正直ハズレだな」 「ハズレって? こんな危ないもん持たされて、僕たちは何をすればいいんだ?」 「そうだった。思い出せないなら説明してやんなきゃな」  ダイは一度深く息を吸った。耳を済ませ、周囲に誰も近付く者がいないことを確認する。  そして、彼は口を開いた。 「これはデスゲームだ――俺たちは殺し合いをして、他のプレイヤーが持っている『鍵』を奪わなきゃならない」
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