ボクのおねえちゃん

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 気づいたらボクはおねえちゃんと手をつないできれいなお花畑を歩いていた。ああ、ボク、やっと“へんしん”出来たのかな?  だけど、となりをあるくおねえちゃんは、ちっともうれしそうじゃない。それどころか、ポロポロポロポロ……後から後から涙があふれてきて止まらない。  ボク、ちゃんと“へんしん”出来なかったのかな? なんでおねえちゃんは泣いてるの? 「あのね、蘭丸。蘭丸はココにいたらいけないの。おうちに帰らないとダメなんだよ。だからがんばって、がんばって目を開けて。お願い! お願いだよ、蘭丸」  ああ、たいへんだ。おねえちゃんが泣いている。ボク、がんばる。がんばるよ!  ゆっくり、ゆっくり、目を開けたら、そこにはやっぱりポロポロポロポロ、泣いているおねえちゃんのお顔があった。だけど、今度は泣きながらよろこんでくれたみたい。それに、おねえちゃんが握ってくれている前足がポカポカ温かくて、ボクはとっても安心した。   「蘭丸! 蘭丸! 蘭丸!」  おねえちゃんは、泣きながら何度も何度もボクの名前をよんだ。大丈夫、おねえちゃん、ボクはココにいるよ。
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