ボクのおねえちゃん

　それから何日か、ボクは病院から帰れなかった。だけど、毎日毎日おねえちゃんが会いにきてくれて、もうすぐおうちに帰れるよって言ってくれた。

　久しぶりにおうちに帰ったボクに、おねえちゃんはとってもおいしいゴハンを出してくれた。お肉がいっぱいのっかってて、スペシャルゴハンなんだって。

「ラン、ほら、いっぱい食べて？　蘭丸が守ってくれたから、おねえちゃんはケガひとつしなかったんだよ。カッコよかったよ蘭丸。ヒーローに変身したみたいだった！」

　そう、ボクは“人間にへんしん”は出来なかったけど、“ヒーローにへんしん”は出来たらしい。

　あの日、イジワルな女の子に追いかけられたおねえちゃんは、車道に飛び出してしまったんだ。だけど、ボクが車とおねえちゃんの間に飛び出して、おねえちゃんを守ったらしい。それでボクは“ヒンシノジュウショウ”ってやつだったんだって。

　まあ、実のところ、ボクはよく覚えていないんだけどね。

　でも、良かった！　おねえちゃんのために“へんしん”できて！