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兄貴が突然、部屋へやって来た。
「なに入って来てんだよ、戻れよ」
「...お前を不快な思いにさせたのは謝る、俊への口止め料、やめてあげてくれないか」
勉強机のチェスター付きの椅子に座っていた俺は椅子を反転させ、兄貴を睨みあげた。
「彼氏を庇いたい、て訳、優しい彼氏だね」
卑屈に笑った。
「父さん達が知ったら、どうなるかわかってんの」
兄貴は無言で立ち尽くしている。
「出てって。勉強の邪魔」
「祐介....」
「聞こえないの!?出てってよ!」
立ち上がり、兄貴を力づくで押し、部屋から追い返し、溜息をついた。
...兄貴がゲイだったなんて....しかも、彼氏は俺の友人。
なにも知らされていなかった。
俺は再度、机に座り直した。
勉強が捗らず、プリントを勢いよく丸め投げ捨てた。
「あっ....あん....ああ....!」
止めどない、継続的な女みたいな俊の喘ぎ声に耳を塞いだ。
まだ中3、15の俺は、いつしか、その声に反応してしまっていた。
「....そんなに気持ちいいのかな....」
複雑な好奇心が目覚めていた。
ゲイについて、片っ端からネットで検索した。
そして、行き着いた先。
ゲイ専用の出会い系のアプリ。
少々、プロフを嘯き、登録した。
数日後、何通かのメールが来た。
そのうちの1人、看護師をしているという、23歳の好青年なイメージの男性、達也さん、て人と連絡を取った。
悩みも聞いてくれ、俺も安心し、そして、土曜日に会うこととなった。
待ち合わせ場所のコンビニでソワソワ、落ち着かない。
そんな中、一台の車が俺の前に停車した。
教えられていた、グレーの乗用車。
「ゆうくんかな?」
ウィンドウが開き、達也さんが顔を覗かせた。
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