その後

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その後

『ついにナマケモノが走り出した!』 『この映像は貴重だ!』 『我々も、ナマケモノが走っているところを生で見てみたいものですね!』  人類が「走るナマケモノ」で盛り上がっている間、例の二匹のナマケモノは地面に横たわり、青い空を眺めながらおしゃべりをしていた。 「なぁんかさぁ  ちやほやはされたけどぉ  『はしれ』ってさぁ  せっつかれるのはぁ  しんどくなぁい?」 「しんどいねぇ」 「だよねぇ  もうさぁ  きのうえにぃ  ひなんしよぉ」 「そうしよぉ」  こうしてナマケモノは木の上の生活に戻った。  人々の間でも、一部のコアなファンを除き、ナマケモノへの興味が薄れていった。  世間は落ち着いてゆく。  現在、ナマケモノは木の上でのんびりと暮らしているが、一万年くらい経てば、また走りたくなるのかもしれない。  ナマケモノが走ろうが走るまいが、私にはどうでもよいことであるが。
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