ドロウはなにも知らない

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「誰に習ったんだよ…魔力は多い、方から…ん…少ない方に流れるだけじゃないの?」  レロレロと、ドロウの分身に舌を這わすトムの口元を見る。ドロウの理屈としてはトムの口からこちらに魔力が流れ込んで来るはずだった。  それが全部、吸い上げられている感覚がある。これは、気持ちがいい…とドロウは脱ぎそびれたマントの襟を掴む。  自分よりも魔力が強い者とする時はもっと苦しいと、経験上思っていた。  だからトムと添うのは苦痛を伴うだろうと結構な覚悟をして…だいぶ前から、それに合わせる覚悟でいたのだ。 「教えてくれたのは…カクレ師匠だよ。安心してね、座学だけだから。」  トムが一気に吸い上げた時、ドロウは血が逆流する程の放出感と、快感を味わいながら。一度果てた。 「古い考えだな、性交時の魔力の流れはやり方次第で入れるも出すもできるんだよ。」  魔王の城での夜、カクレが同じ寝台の中でトムに教えてくれた。 「吸うと、吸えるんだけど、唾液を吸うんじゃないんだ。わかる?吸いたいのは魔力なんだからね。」  はあ、こう?と口をすぼめたり、開いたりするのを見かねて、カクレは何度もトムの口を使って実技で教えてくれそうになったけれどトムはきちんと押し返した。 「これだけの技術があれば、ガトラーともあの鉱物の玉なしで、できるな。あとは回数だ。」  トムがなんの気なしに言うと、すっかり機嫌を悪くしてしまった。それでもいいかとお節介は続く。 「ガトラーと、きちんと話をするんだ。カクレは一緒にいたいんだろう?あれだって、気持ちは同じだと思うよ。」  カクレは何も言わない。 「カクレがしないなら、僕がする。」  カクレは何も言わない。  
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