31人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
「何人?」
うつぶせになって、ドロウを全て受け入れたトムの背中に声が掛かる。
「なに…が?」
小刻みに動かずに、ギリギリまで抜いては、突き、抜いては、突きとトムを揺さぶりながら、何人?とまた「なにをした人が」とは聞かずにドロウが問う。
「ああ…口付けまでして、失神させた人の数?…ん…。」
失神させてたのかと、それに少し安心してドロウは動きを速める。
「3~5人て、とこ…かな…。」
そこまで聞いてドロウはもうこれ以上もたないと感じる。早く、お互いに最後までいかないと。こっちが失神してしまう。
「ドロウ…ドロウ…そのまま…。あ…。」
「最後までできたのは、俺しか…いないんだな。」
そう言ってドロウは気を失うように寝てしまった。気を失ったのかもしれない。一回しかできないのはつまらないな、他に方法を考えないととトムはドロウの胸を枕にして、そこから見える腹から下を撫でてみる。
「最後までできたのは、ドロウしかいないよ。」
そうか、ここでとトムはドロウの唇を含む。その唇から魔力がこちらに動くのがわかる。
「起きないかな。しょうがない。明日は魔王の城まで全速力で走らせれば、できるかもしれないし。」
トムはドロウの胸に頭をのせたまま寝息を立て始める。
ここでなら、なにも恐れずに眠れるとトムは思ったのかもしれない。
少し寝て目を覚ましたドロウが、トムの肩に手を添える。眠るつもりなどなかったんだと言うように。
「トム、寝てた。ごめん。」
「んー?なに?僕は寝るよ。」
「こんなに、良かったのは、初めてだ。」
「なにそれ。グレンとは…?」
「グレン?」
「グレンとは、できなかったか…。」
なにか誤解していると、弁解しようとしたけれど、トムはまた寝息を立て始めた。
最初のコメントを投稿しよう!