ドロウはなにも知らない

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「何人?」  うつぶせになって、ドロウを全て受け入れたトムの背中に声が掛かる。 「なに…が?」  小刻みに動かずに、ギリギリまで抜いては、突き、抜いては、突きとトムを揺さぶりながら、何人?とまた「なにをした人が」とは聞かずにドロウが問う。 「ああ…口付けまでして、失神させた人の数?…ん…。」  失神させてたのかと、それに少し安心してドロウは動きを速める。 「3~5人て、とこ…かな…。」  そこまで聞いてドロウはもうこれ以上もたないと感じる。早く、お互いに最後までいかないと。こっちが失神してしまう。 「ドロウ…ドロウ…そのまま…。あ…。」   「最後までできたのは、俺しか…いないんだな。」  そう言ってドロウは気を失うように寝てしまった。気を失ったのかもしれない。一回しかできないのはつまらないな、他に方法を考えないととトムはドロウの胸を枕にして、そこから見える腹から下を撫でてみる。 「最後までできたのは、ドロウしかいないよ。」  そうか、ここでとトムはドロウの唇を含む。その唇から魔力がこちらに動くのがわかる。 「起きないかな。しょうがない。明日は魔王の城まで全速力で走らせれば、できるかもしれないし。」  トムはドロウの胸に頭をのせたまま寝息を立て始める。  ここでなら、なにも恐れずに眠れるとトムは思ったのかもしれない。  少し寝て目を覚ましたドロウが、トムの肩に手を添える。眠るつもりなどなかったんだと言うように。 「トム、寝てた。ごめん。」 「んー?なに?僕は寝るよ。」 「こんなに、良かったのは、初めてだ。」 「なにそれ。グレンとは…?」 「グレン?」 「グレンとは、できなかったか…。」  なにか誤解していると、弁解しようとしたけれど、トムはまた寝息を立て始めた。    
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