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愛
「……何?話って。」
放課後に一人で残るようにと佐古から告げられたメグミが、最後の生徒が教室から出て行ったと同時に問いかけた。そして佐古から見せられた写真を見て首を傾げる。
佐古
「こいつら、名前とか知ってたら教えてくれる?ここの学年のはずなんだけど。」
愛
「アタシあんまり言うほど同い年に知り合い居ないからなー。ナツの方が知ってるかもね。誰なの?」
佐古
「多分、嫌がらせしてる犯人かその仲間。まだ断定は出来ないけどな。」
愛
「……椿の?」
佐古
「あぁ、どうやら及川への嫌がらせはほんのついでで、本命は菅野先生みたいだな。」
愛
「……は?菅野ってあの巨乳女?何で?」
佐古
「一応先生だからね?呼び方気を付けようか(笑)理由は俺にも分かんねぇよ。」
黒板に書かれた文字を黒板消しで消しながら話す佐古の背中から、メグミが言った。
愛
「ってかさ……あんたホントに何がしたいの?」
佐古
「あ?何が……あ、やべ、服についちゃった……。」
パーカーの袖についたチョークの粉を叩き落とす佐古をメグミがじっと見つめている。何だかお互いに初恋の相手みたいに恥じらっている椿と佐古の姿を見ているのは退屈しのぎには丁度良かった。だがこうもじれったいと見ていて段々と苛立ちを感じてしまい、いつまでも自分の気持ちをはぐらかしている佐古に対してきつく言いたくなる時がある。
愛
「結局そうやって突き放すなら、何で告ったの?何で好きだなんて言ったの?あんたあの子で何がしたいの?」
佐古
「……はぁ……。」
パイプ椅子に座り教卓の上に肘を付き、その上に顎をのせ深くため息をついた……。
佐古
「言うつもりなんか無かったよ。」
愛
「前にアタシん家で、あんたはあの子を特別扱いしてるって言ったじゃん……覚えてる?」
佐古
「あぁ、覚えてるよ。」
愛
「あの頃からもうすでに……そういう事だったんでしょ。」
佐古
「……!」
“ 俺はあいつが心配で仕方が無い…… ”
“ 心配だよ、あいつの事が ”
…………んな訳………。
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