寝覚の悪い僕と機嫌の悪い猫

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僕は至って普通のサラリーマンだ プライベートの悩みなど仕事場に引きづらない様にしているのだが早々割り切れるものではない はぁ〜… おいおい。おまえ最近ため息多いぞ ん〜?んー… 悩みでもあんのか? 悩みか…最近よく眠れないんだ お酒を多く呑んでも熟睡出来ない上に 起きた時は軽い二日酔いさ おまけに愛猫にも毎朝威嚇される まぁ酒の件は置いといて 威嚇されるのは傷つくな だろ?ここでは上司の機嫌取り 家では愛猫様の機嫌取りって訳だ ぷっ!上手いこと言うじゃないか まぁ俺も上司と嫁の機嫌取りさ どうだ今日呑まないか? いいね。 (愚痴を聞かされるだろうがかえって疲れて安眠できるかもしれないな) 案の定 嫁の愚痴から始まるが終盤は 奥さんを褒めていた。 なんだかんだ上手く行っているのだろうな 幸せそうな同僚の顔が少し羨ましく思えた 同僚の携帯が鳴り出す おっと…鬼嫁だ。と照れ笑い もしーもし 恐らく怒鳴られているのだろう 同僚の顔がひきつっている あんた今どこにいるのよ! だとさ。ったく。 ははは…じゃあこの辺で帰ろうか まぁ心配されてる内は愛があるって事だな 僕はまだまだ結婚はいいかな さて村山にお土産でも買って帰ろう ん?今度は僕の携帯が鳴り出した 公衆電話の文字だ …… 絶対にあの公衆電話だと確信した 鳴り終えない着信を無理矢理切り 震える指で直ぐに公衆電話からの 着信を拒否設定しひとまず安心したが 直ぐに着信が入ってきた 今度はちゃんとした番号だ しかし登録はされていないのだが 僕はこの番号に見覚えがある …え? じ…自宅? 自宅の固定電話から着信が入ってきた いやいや 一人暮らしだよ? 実家の母が来てわざわざ電話!? もしくは泥棒に入られ そこをたまたま現行犯で逮捕され 警察が電話した!? ははは そんな馬鹿な事はありえない 頭の中をコミカルにし 考えない様にするが拭いきれない 不安要素が固定されている そう…公衆電話 あの公衆電話の声の主だ…絶対に しかし違っててほしい しかしそれ以外ない 恐る恐る画面をスライドする …… も…もしもし? ……… …もしもし!? 強めに怒鳴った …今…どこにい…ますか? ……わ…わたしを…無視…しないで… 血の気が引いた 頭は真っ白になる しかし直ぐに我に帰った みゃおん? む、村山!? フシャー…フシャー… 電話の近くにいるのだろう…威嚇してる 恐怖よりも 愛猫を怖がらせた事に怒りがシフトした おいっ!! お前そこから出るんじゃねーぞ!? 今行くからな!? いやってかそこから離れろ!!? 怒りと恐怖と愛猫への想いが入り混じり 訳の分からない事を言ってるがこれが 正しいのだろう すぐさまタクシーを拾い 急ぎでお願いした 強張った顔の僕の不安な気持ちを 察してくれたのかタクシーのおっちゃんは ソナタを流してくれた 僕は少しだけ冷静になれた
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