はじめに 貼雑帳とは一体何ぞや?(敬称略)

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はじめに 貼雑帳とは一体何ぞや?(敬称略)

 イギリスの怪奇作家の巨匠であるM・R・ジェイムズに、「アルべリックの貼雑帳(はりまぜちょう)」と作品があります。 私も大好きな話です。    古書好きな男が訪れたとある辺鄙(へんぴ)な山村。 男はその村で一冊の稀覯本(きこうぼん)と巡り合う。 破格の値段で男へと売られたその本には、思いも寄らない秘密が潜んでいた。 本を手に入れたその日の夜、男は身も毛もよだつ恐怖に襲われて・・・・・・ という筋の古色蒼然としたゴシックホラーです。    ちなみに、私はBLと同じくらい古今東西の怪談が大好きです(自分では全然書けませんが)    つい話が逸れました。 原題が「Canon Alberic's Scrap-book」なので、貼雑帳=スクラップブックなのでしょう。 手持ちの国語辞書によると、「『スクラップブック』とは〔新聞・雑誌の〕切りぬきを貼り込む帳面。切りぬき帳」と記されています。 なるほど言い得て妙な、――まさに妙訳です。    さらに文明の利器(グーグル)で調べてみると、かの江戸川乱歩も「貼雑年譜」なる著作を記しているとのこと。 寡聞にして未読なもので、内容までは知らないのですが。
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