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真夏にナマケモノが見る夢は 著 あいざわすず様
『本の森』と呼ばれるある森に、一匹のナマケモノの女のコがいました。
みんなからは『はるなさん』と呼ばれています。
最近はとても暑く、大好きな冷たいお酒を好きなだけ飲んでも動きたくなくなるほどでした。
ある日、はるなさんは良いことを思い付きました。
(そうだわ!夏中に眠ってしまえば、暑さをそんなに感じないかもしれない!そして、涼しくなった秋頃に起きればいいのよ!)
そうと決めるとはるなさんはのんびりと、夏に眠りにつく準備をはじめます。
まずはなるべく涼しい木陰を選び、木の枝にベッドの支度をし、美味しいお酒を近くに置き…
そして大好物の『妄想竹』を胸に抱きしめ、胸に期待を膨らませて眠りにつきました。
その頃。
街の保安局では、この暑い陽気に弱るであろう森に棲む動物たちの、保護をすることが決まりました。
連絡を受けた動物の保護団はすぐに皆分かれてグループを組み、そのひとつが急いで森に向かいます。
森に着いた一団はさっそく、動物たちを一匹一体ずつ保護していきました。
ところがナマケモノの女のコ、はるなさんだけは起きません。
揺すっても抱き起こそうとしても、身動きすらしないのでした。
ベッドにした木の枝にしがみつき、竹を大事そうに抱きしめたまま。
それもそう。はるなさんは夏の間中ずっと眠るつもりだったのですから……
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