ライカ

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 お巡りさんが呆れたように、俺にたずねてきた。 「独りで季節外れのお花見でもしてたのかい?とっくに桜は散ってしまったよ」  そんなの見ればわかるって。  途端に左頬がヒリっと痛み出し、熱くなった。 涙はちゃんと拭いたはずだ。  右の手の甲を見ると、ほんの少しだけ赤くなっているように見えた。 もう春は本当に終わってしまったのだと、その時、確かに思えた。  又、来年もゼッテー会おうな!                 終
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