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休日出勤なので、追加手当もつく。
僕は、「そんな程度の仕事で、臨時収入が入ってラッキー!」と喜んでいた。
本当に、それくらいにしか考えていなかった。
それなのに・・・・・・
「わざわざ、その為に・・・・・・?」
ついうっかりと、「僕の為に?」と言ってしまいそうになった。
リュウタさんは、ちょっぴりだけ笑った。
何だか照れている様に見えて、僕も自然と頬が熱くなる。
リュウタさんは僕よりも十才以上年上だと思うが、子供みたいな笑い方だった。
「うん。大将には無理を言って、『店ごと、間宮君を貸してほしい』って頼んだんだ」
「⁉」
一瞬で顔が真っ赤になったのが、自分でも分かった。
それくらいに衝撃的な、リュウタさんの爆弾発言だった。
僕はとっさに深くうつむいて、不自然に赤くなった顔を誤魔化そうとした。
「あっ、ゴメン‼けして間宮君のことを物扱いしたわけじゃないんだ!ただ、――ただ、その、本当にめずらしいお酒だから、ぜひとも間宮君にも飲んでもらいたくて‼」
リュウタさんは普段お酒をどんなに飲み過ぎても、騒いだり大声を出したりするような人ではなかった。
何時も美味しそうに、楽しそうにお酒を飲んで、肴をつまんでいた。
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