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それでもリュウタさんは、
「間宮君、酒注ぐの上手くなったなぁ・・・・・・」
と褒めてくれた。
「ありがとうございます。まだまだ全然です」
と、口では言っておいたが、本当はとてもうれしかった。
万に一つでも欠けるといけないので、リュウタさんと僕はグラスを触れ合わせる真似だけの乾杯をした。
そうしてやっと、泡立ち、弾ける日本酒を飲む。
ピリピリと舌を突き刺すような炭酸の強さにも負けない、しっかりとした辛口の酒だった。
にごり酒で、しかも発泡性だから=甘めだと思っていたのだ。
辛めの味ながら、強烈な炭酸のおかげかとても飲みやすい。
「あー!この味この味‼やっぱり美味しいなぁ・・・・・・」
心の底から言うだろうリュウタさんの顔を見ていたら、僕の心の底でも無数の細かい泡の様な『何か』が生まれ、立ち上り始めた。
それらは僕の胸の中をドンドン満たしていって、あっという間にいっぱいにしてしまう。
あぁ、僕はリュウタさんのことが好きだ――。
大好きなんだ――。
グラスから離した口を突いて『何か』が、言葉が勝手に飛び出してきた。
「好きです」
「おっ!そう?うれしいなぁ・・・・・・」
「えっ?」
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