32人が本棚に入れています
本棚に追加
「まさか、リュウタさんも僕のことを・・・・・・?」と、驚く僕に、リュウタさんは笑顔でそう言ってきた。
「何だか、軽い調子だな」とは思ったが、驚きの方が大きかった。
信じられなくてボーっとしている僕の耳に、リュウタさんの声が飛び込んでくる。
「間宮君も、この酒のこと気に入ってくれたんだ‼」
「え?」
酒?
一瞬、本気で「何で、リュウタさんは酒のことを話しているんだ?」と思った。
すぐに、「今、リュウタさんと酒を飲んでいるのだから当たり前だ」と気が付いた。
見れば、リュウタさんはテーブルに突っ伏さんばかりに顔を近付いていた。
バンバンと表面を叩いているので、空になったお通しの皿が揺れている。
「本当に美味しいよなぁ。いやぁー、よかった‼出張後に有給取って、立ち寄った甲斐があったよ!」
「わざわざ、そこまでして買って来てくれたんですか・・・・・・?」
今度は別の意味で驚く僕に、声で分かったのだろう。
リュウタさんは、ガバッと顔を上げた。
笑いにすっかり埋もれていた目が、パッチリと見開かれる。
最初のコメントを投稿しよう!