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「しまった‼」と、その大きな目は正直に言っていた。
「いや、その、俺も又、飲みたかったし‼間宮君に恩を着せるつもりなんかじゃ、決して――」
大声+早口で言うリュウタさんには、心配するような恩着せがましさは全然ない。
リュウタさんがそんな人じゃないことは、僕にもよく分かっている。
僕はもう一口、にごり酒を飲んだ。
「僕、このお酒、本当に好きです。とっても美味しいです」
心から、リュウタさんへと言うことが出来た。
「間宮君・・・・・・」
「ありがとうございます。リュウタさん」
手酌でおかわりを注ぐリュウタさんは本当にお酒が、日本酒が好きなのだろう。
とてもうれしそうだ。
うれしそうなリュウタさんの姿をじっくりと独り占めして見られるのは、僕もうれしい。
さらにもう一口飲んだにごり酒に、僕は力を、勇気をもらった。
「又、美味しいお酒を教えてもらってもいいですか・・・・・・?」
「あぁ、もちろん。色々あるから楽しみにしててくれよ~」
リュウタさんに言われる。
軽い調子ではなく、あくまでも明るい調子だ。
僕の中で期待が泡立ち、弾けた――。
終
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