僕は、君の居場所(シェルター) 著 あいざわすず様

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 とても落ち着いていて頭の良さそうなオオヤマネコのお兄さんは、はるなさんを見て申し訳なさそうに謝ります。  聞けばお兄さんの友達はとても恥ずかしがりで、誰も来ないような気に入った場所に勝手に自分の部屋を作ってしまうのだそう。 「おまけに彼はかなり視力が悪いもので、近くにいたはるなさんにも気が付かなかったんでしょう。彼の代わりに先に私が謝罪します、申し訳ありません。すぐに穴を埋めさせますので」  お兄さんははるなさんに謝ると、穴の中に向かって声を掛けます。 「聞こえるだろう?早く出てくるんだ」  すると少しして穴から出てきたのはモグラのオトコのコ。  オトコのコはオオヤマネコのお兄さんと驚いているはるなさんを見て、ビクリと震えました。 「はるなさんに、君からもしっかり謝るんだ」  お兄さんの声掛けに、オトコのコはおずおずと頭を下げました。 「……ごめんなさい、はるなさん。勝手に穴を作って。どうしても僕だけの居場所が欲しくて……」
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