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ごつく、硬いバスケットボールを掴み叩いて自由自在に操る永樹の手が、永樹の顎をまるで壊れ物の様に柔らかく支える。
「和史、いつまでも一緒だ」
「・・・・・・」
永樹からあまりにも思いがけないことを言われ過ぎて、続けて和史は黙ることしか出来ない。
和史の沈黙を永樹はどう受け取ったのだろうか?
和史の頬から手を退け、一瞬だけ目を伏せる。
左肩の上の手はそのままだ。
真っすぐ和史を見つめ直し、永樹が告げた。
「――いや、俺がいつまでもおまえと一緒にいたいんだ」
そこで一拍、永樹の言葉の間が空いた。
「和史、俺と一緒にいてくれ」
「・・・・・・」
和史はなおも黙り続けている。
永樹を焦らしてやろうという気は全くなかった。
一度は胸元まで下ろしたカメラを再び構える。
何とか笑って、永樹へと掲げて見せた。
「俺が最後までお前を撮り続けるよ」
「えっ?」
またもや永樹が絶句する。
レンズ越しにではなく、そのままの目を向けた和史が続ける。
「俺は昔っから、いつでもおまえの一番のファンだと思っている。どこまででも追いかけていって撮ってやるからな‼」
「・・・・・・」
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