32人が本棚に入れています
本棚に追加
「全く・・・・・・バカはどっちだ!」
気が付いた時は思わず声に、言葉に出してしまった後だった。
『時、既に遅し』だ。
「・・・・・・」
自分以外には誰も聞いていなかったのをいいことに、新山は全くなかったことにする。
吐きかけたため息を誤魔化すかの様に、やっとぬるくなってきたコーヒーで飲み下した。
新山がマグカップから視線を上げると、ビルディングの林に突き上げ持ち上げられている空が見えた。
黒が淡く薄くなり、より青へと近付いてきている。
新山の長かった夜が今やっと明けようとしている――。
最初のコメントを投稿しよう!