「マジックアワー」

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 「全く・・・・・・バカはどっちだ!」 気が付いた時は思わず声に、言葉に出してしまった後だった。 『時、既に遅し』だ。 「・・・・・・」  自分以外には誰も聞いていなかったのをいいことに、新山は全くなかったことにする。 吐きかけたため息を誤魔化すかの様に、やっとぬるくなってきたコーヒーで飲み下した。  新山がマグカップから視線を上げると、ビルディングの林に突き上げ持ち上げられている空が見えた。 黒が淡く薄くなり、より青へと近付いてきている。  新山の長かった夜が今やっと明けようとしている――。
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