32人が本棚に入れています
本棚に追加
職場の後輩で部下でもある武内和史から、LINEでメッセージが届いていた。
武内は鳥居と入れ違いで二年前に入社してきた。
鳥居や新山と『父子』ほどではないが、『かなり歳が離れた弟』の年齢だった。
新山は初対面の時から武内のことが気になった。
何故か、「鳥居と似ている」と思えて仕方がなかった。
二人して、「カッコいい」というよりは「可愛いらしい」と評した方が相応しい容貌だからかも知れないと、勝手に思い込むようにしていた。
――それ以外の理由が分かったのは、かなり酔いが回った飲み会の三次会での時だ。
武内からのメッセージはてっきり仕事の話と思いきや、全く私的な内容だった。
短い文章と添付されている写真とを目にした新山は、またもやつい声に出していた。
「無事、間に合ったか・・・・・・えっ⁉」
最後はちょっとした叫び声になった。
武内のメッセージはというと、「永樹と付き合うことになりました」だった。
たった一行、それだけだ。
武内は普段から、私的なメッセージにもスタンプや絵文字は使ってこなかった。
先輩で、年長者の新山にちゃんと気を遣っていたのだろう。
いつも以上に飾り気のない文章が、かえって武内の喜びの大きさを深さを表しているように新山には思える。
最初のコメントを投稿しよう!