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文字通りイドリスの『目の高さ』の位置まで持って来られる。
イドリスの目は白金の輝きを放っているが柔らかく、どこか温かだった。
レヴィアにはそれが何故だか「分かって」いた。
イドリスがただ、優しいからだ。
『煌めく剣の焔』の勇者なのに。と『知識』だけで思う。
『知識』の上でだけは――。
レヴィアはイドリスの肘から肩へとよじ登った。
これならば腕が痺れることもないだろう。
イドリスは、白の色が強い銀の髪を頭の半ばの高さで一本に結わいている。
すっかり覗いて寒々しい、先の円い耳へと竜はささやきかけた。
「おまえは、私がおまえを乗せて飛べればいいとは思わないのか」
「え?」
イドリスが右を向いたので、勢い余ってレヴィアの口先と唇とがぶつかりそうになる。
実際にぶつかった時のことをレヴィアは憶えている。
柔らかいのにしっかりと力強い、不思議な感じだった・・・・・・
イドリスはまじまじと間近なレヴィアの顔を、目を見つめた。
幼生とはいえ竜の目を覗き込むとはなかなかに豪胆だ。さすがは勇者だ。とレヴィアは心底感心をする。
「だから、その方が手っ取り早いとは思わないのかと聞いている」
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