物識り竜のひこばえは天然勇者にほだされる

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 本来の姿であれば、さすがに『(ひと)っ飛び』とまではいかないが、ここからだったらものの一日二日でたどり着いてしまうのにと、レヴィアは目算をした。  レヴィアの頭の中に在る算盤などは見えないイドリスが言った。 銀の目に、一際明るい光がキラリと閃いた。 「思わない」 「何故(なにゆえ)にだ」  なおも言い募るレヴィアの姿がさもおかしそうに、イドリスは笑った。 細められた銀色の切れ長の目がレヴィアを捕らえる。 「そんなんだったら、すぐさま『集会の山』へと着いてしまうだろう」 「そうだな」  一体、それに何の差し障りがあるのだろうか。 レヴィアには本気で「分からない」  イドリスは同じ調子で続ける。 「俺はレヴィアと一緒に旅がしたいんだ」 「何故にだ」  レヴィアも又、なおも同じ調子で繰り返し問う。 「楽しそうだから」 「・・・・・・」  またもや髪の毛の一本、一筋も入れない即答だった。 そんな具合だからレヴィアの言葉が入る余地など隙間もあるはずがない。 かろうじて沈黙はねじ込むことが出来た。  声を立てて笑い出さないのが不思議なくらいなイドリスの顔は、言葉通り「楽しそう」にレヴィアには見えた。
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