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「フォーカスライト」
たった一人の観客――、和史のためだけに永樹の豪快なダンクシュートが決められる。
ゴールネットを千切らんばかりに揺さぶる音が、広い体育館の隅ずみまで響き渡る。
その勢いの凄まじさは床にリバウンドしたボールの弾み方で確かに、和史へと伝わった。
あえてゴールから距離を取って立っていたがありありと見て取れた。
実際、和史はシュートを決める永樹の姿をレンズ越しに観て、愛用のカメラで余すところなく撮る。
拍手の代わりに何度もなんども夢中でシャッターを押した。
永樹が自分を見て笑ったのを撮ってようやく、和史はカメラを下ろし裸の目で永樹を映した。
まるでストロボフラッシュをまともに浴びてしまったかの様に、和史は目を細める。
約一年振りに見る永樹の笑顔が眩しくて、――ただ、まぶしくて仕方がなかった。
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