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身内の反対を押し切って一方的に家を出た自分の立場はまさしく不利であり、何の後ろ盾もないがゆえに謝罪と話し合いを求めることでしか解決の糸口を見出せなかったのだ。
だが虚しくも、その要求さえも叶わなかった。正確にはできなかったのだ。
あらかじめ兄から聞いていた以上に清宮家を取り巻く諍いや不和は騒々しく、事態は改善に向かうどころか深刻さを増していたからだ。
正直なところ、伯父が倒れるまでは家の問題なんて知ったことではないと、どこか他人事のように考えていた。
だが実際に何度も足を運び、清宮家が直面する事の重大さを目の当たりにして、頭から冷水を浴びせられたような気分になった。
事情がややこしいだけに、彼女を家の問題に巻き込みたくない。
出自や素性を打ち明けようと思うたびに心にブレーキがかかり、ただ時間ばかりが過ぎていく。諍いは収拾するどころか、対立に拍車がかかる一方で、事態を混迷化させた。
そうなってしまうと、ますますどうしたらいいのかわからなくなった。
なぜ死んでしまったのだと、帰らぬ人となった伯父に対して理不尽な罪をなすりつけたくなるほどに。
同時に、のうのうと京都で暮らすことに心苦しい気持ちに駆られた。
もう今となってはすっかり頭の中から抜け落ちていたはずの、清宮家への忠誠心や思慕の念。
物心つく前から脳細胞に浸み込むほど深く刻み込まれた、もはや妄執にも似た感情。
それらがじわじわと蘇ってくるのを肌で感じて、本格的に家の未来を案じるようになったとき、己はれっきとした清宮家の血を引く人間なのだと痛感した。
これ以上、家の問題をなおざりにすることなどできない。名門の家を背負う立場である以上、逃れられない運命にあるのだと。
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