13日の金曜日

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13日の金曜日

 もうすぐ妹が生まれる。  母さんが入院したと知らされたのは、不吉で有名な13日の金曜日のことだった。  11月13日の金曜日。  朝からしとしと冷たい雨が降っていて、肌寒い6時間目の、算数のテストの真っ只中のことである。  昨日まで10月中旬並みの秋晴れが続いていた。  今朝は急激に冷え込んで、いつもは母さんにたたき起こされないと布団から出られない柚樹も、あまりの寒さに目が覚めた。  日中の最高気温は6℃と天気予報で言っていたが、体感温度的にはもっと低い気がする。  まだ暖房の準備ができていなかった教室は寒く、特別にジャンパーを着こんで授業を受けていいことになった。  外は薄暗く、一日中嫌な感じで雨が降り続けていた。  給食には、みんなが嫌いなセロリのヨーグルトサラダも出た。  野菜の中でも癖の強いセロリと、水っぽいキャベツの千切り、微妙にしょっぱいいちょう切りのリンゴを酸っぱいヨーグルトであえるなんて、メニューを考えた人の舌は絶対におかしい。  アレを美味しいと食べている生徒を見たことがないし、アレルギーのフリをして残す奴もいる。  いつもは好き嫌いしないで食べなさいとうるさい担任の林先生が、セロリのヨーグルトサラダの残飯については知らんぷりしているところを見ると、たぶん先生も苦手なんじゃないかと思う。
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