小満芒種

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小満芒種

ニ年ほど農業をしていたことがある 実家が農家なので出来たことだが、畑を全くしたことがない人が農業を始める場合 300万以上の資金が必要になる ゼロから畑を始めると野菜が育つまで収入が無くなるからだ 畑もそうだが資材諸々の準備に結構なお金がかかる そして野菜ができても売れるとは限らない 公式コンテストで「スローライフ」というお題が出ている パッと思いつくのは田舎での自給自足な生活だろうか… 大抵のスローライフ系ファンタジーでは魔法の力で何とかなってる気がするけど現実では、コンビニの深夜勤でもしてたほうがスローで怠惰な生活を送れるかもしれない 今朝、久々にあった知人から 「そろそろカボチャの時期だな?」 と聞かれた 暖かい沖縄では冬至用のカボチャが余裕で作れる 初めに作ったのがその冬至かぼちゃだ 「もう農業はやってないし、何で急にそんなことを言ってきた?」 「え?あのカボチャもう作れないの?」 「まぁ定年とかしたらやるけどさ…」 「え〜?」 他愛の無い会話で素っ気なく話していたけど内心、めちゃくちゃ嬉しかった 私は完全無肥料無農薬という(スーパー)ストロングスタイルの農業をしていた、産まれたばかりの次男にいい野菜を食べさせたいと思ったから… スーパーには年がら年中色んな野菜が売っている、この野菜の旬っていつですか?状態だ 無肥料で野菜を作ろうとすると 野菜の旬を知らないと作れない そして(こよみ)、旧暦と二十四節気七十二候を把握する必要がある 七十二候は日本に合わせていくつか改定されたらしいが この前、フォロワーさんとの会話で 「雷乃発声」 かみなりすなわちこえをはっす という三月下旬の暦の名前を久しぶりに口にした(書いたけど察して) 雷は空気中の窒素を窒素酸化物に変え、雨に混ざって植物の成長に必要な窒素を土の中に浸透させる 農家は雷の後は稲が伸びてる事を経験則で知っていた…立証されたのは最近だ 春分や秋分、夏至、冬至は二十四節気に分類される、この中に5月下旬、小満(しょうまん)すべての命が満ち満ちる時期の直後は 芒種(ぼうしゅ)種を撒く時期 暦と農業を直結させた暮らしをしていたのだ 昔の人凄ぇ… 沖縄ではこのふたつをあわせて スーマンボーシューと言います 結局暮らしていけるだけのお金にならなかったから辞めましたが 定年したらやってみようとは思う ちなみに糖度20度超えのカボチャは煮物にすると他の味を完全に消す糖分の塊と化します。 あと、七十二候の漢文読みみたいな感じは オタクとしてツボに入る
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