hero

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 テーブルに新聞を放りつつ、力也が痛い所を突いてくる。  しかし、それこそ今に始まったことではない。僅かに眉を寄せつつも、平静を装って近くに転がっている軍手をリュックに詰めた。  ヒーロー、と一口に言ってもその仕事やスキルの内容は多岐に渡る。  とりわけ明確に違うのはライセンスの種別だ。ヒーローライセンスには一種と二種があり、一種の方がより難関である。  魔獣を確実に駆除出来る実力が必須なのだが、アマネはサポート専門で駆除は圧倒的に不向き。そういうわけでライセンスとしては二種しか持っていないのが現状だった。  力也は一種で、当然魔獣を駆除出来る。駆除特化とサポート特化が組んでいる為、攻防のバランスは取れている──といえば聞こえは良い。  しかし、結局一種である彼がいなければ仕事にならないのがアマネにとって悔しくもあり、やるせなくもあった。 「殺せなくても撃退は出来るし、近寄らせないことだって出来る。伊達に地味な二種極めてるわけじゃないから」 「出たな、二種コンプレックス。機嫌が悪いのはアレか、このニュースが原因だろ?」  意地悪く笑いながら、力也はテーブルに放った新聞をとんとん、と軽く叩く。
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