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さようならば、42億年後に
「みーつけた」
寝起きでぼんやりしていた時、懐かしい顔が急に目の前に現れた。目が冴えていく。
「あーそびーましょ」
遠く離れてから、もう記憶が曖昧になるほどの長い時が流れたのに、ケラケラ と笑う君は、つい昨日会ったかのような調子だ。
「ああ、遊ぼう」
円柱形のランタンから、さまざまな幾何学模様の影絵が放射状に広がっている。影絵に青いカードを交互に置くゲームは、なかなか決着がつかない。熟考が多くなった君の顔をちらりと見る。
「眠い?」
腹ばいの姿勢から座る体勢になった君は、目を擦りながら頭を横に振る。
「無理しちゃダメだよ。もうお開きにしよう。大人しく寝たほうがいい。僕も眠くなってきた」
しばしの沈黙の後、突然立ち上がって両頬を叩いた君は、がっくりとうなだれて「眠い」と呟いた。
「また、会える?」
「うん。必ず。今度は僕が君を探し出すよ。起きたら、待ってて。きっと見つけるから」
「わかった。絶対ね。じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
君は一瞬で星になった。あのカードと同じ青の星。君が在るべき位置に移動して、クルクル回りながら寝息を立て始める所まで見届けて、僕も星になった。
光速で太陽系の外に弾き出された僕は、安心して眠れる場所を見つける旅をしなきゃいけない。
その間に、あのゲームの戦略を練っておこう。
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