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そこへ、きぐるみが現れた。大きな白いリスだ。
チューリップ畑の奥から駆けてくる姿は今にもコケてしまいそうな危うさがあった。
腕と腹には、色とりどりの花弁をつけている。それらはリスが一歩踏み出すたびに、ひらりと舞い落ちた。
「りしゅしゃん?」
リスは幼女の前で立ち止まり、体をモジモジさせている。
手には、チューリップが三本。
「あ、あか・ちろ・きーろ!」
幼女は声を弾ませると、父親の首に下げられているカメラを使い、写真を撮った。
「ももかちゃんにも、みちぇてあげうの」
「じゃー、車に戻ろっか」
笑顔を取り戻した父親と幼女は、リスに手を振り去っていった。
「ふぅー、」
リスはチューリップ畑の奥へ戻り、スタッフルームのベンチに沈んだ。
机上には廃棄の花が散らばっており、ゴミ箱がひっくり返っていた。
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